大腸がんと診断された方へ

大腸とは

大腸は食道から胃、小腸に続いて右下腹部から始まる約1.5〜2mほどの腸管です。部位により結腸と直腸があります。
結腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に、直腸は直腸S状部、上部直腸、下部直腸に分けられます。

大腸がんについて

食物の欧米化に伴い動物性脂肪の摂り過ぎや食物繊維不足などにより、日本人では大腸がんが急速に増えています。男女差はなく、60〜70歳代の高齢者に多く発症します。進行するのが比較的遅く、早期に発見できれば完治する可能性が高い病気です。

大腸がんの症状

大腸がんは早期には症状はありません。進行して大きくなると便秘や腹痛、血便や便が細くなるといった症状が出てきます。痔からの出血と思い込んでいると大腸がんを見逃すことがあるので注意が必要です。

大腸がんの検査

大腸がん検診では便潜血検査(いわゆる検便)が行われます。しかし大腸がんの発見率は60〜80%と言われており、必ず発見されるわけではありません。便潜血検査で異常があった場合には、大腸内視鏡検査や注腸X線検査などが行われます。

大腸がんの深さ(壁深達度)

大腸がんは便が接する粘膜から発生します。大きくなると大腸の壁に深く進展していきます。がんが進展した深さを壁深達度といいます。深達度が粘膜のみにとどまるものを早期がん、筋層を越えて進展するものを進行がんといいます。

Mがん、SMがんを「早期がん」、固有筋層以上(以深)に浸潤しているがんを「進行がん」と呼びます

大腸がんの転移について

大腸がんは進行とともに別の場所に転移します。転移の様式はリンパ節転移、血行性転移、腹膜転移などがあります。

リンパ節転移

がんの近くにあるリンパ管をたどって腸管の外にあるリンパ節に転移します。通常では先ずがんに近いリンパ節に転移を生じ、次第に遠くのリンパ節に広がっていきます。

血行性転移

がんの近くにある血管にがん細胞が入り込み、血液の流れにのって肝臓や肺など、遠くの臓器に転移します。

腹膜転移

がんが大腸の壁を貫いて腸管の外側まで進展し、お腹の中へ種をまいたようにがん細胞が広がり臓器を包む腹膜に転移することがあります。

大腸がんの進行度(ステージ)

大腸癌の進行度を表すのがステージです。ステージは、壁深達度、リンパ節転移、遠隔転移によって分類されます。ステージは0期からIV期までに分かれ、その数字が大きくなると予後が不良になります。

遠隔転移 MO M1
M1a M1b M1c
リンパ節転移 N0 N1
N1aN1b
N2a N2b,N3 Any N
壁深達度 Tis 0  
T1a/T1b 1 Ⅲa     Ⅳa Ⅳb Ⅳc
T2 Ⅲb
T3 Ⅱa   Ⅲc
T4a Ⅱb  
T4b Ⅱc  

大腸がんの治療

大腸がんの治療法は、内視鏡治療、手術治療、化学療法、放射線療法などがあります。がんが発生した場所や進行度(ステージ)などにより、これらの治療を組み合わせて最適な方法を選びます。

早期がんの場合

早期がんの場合、壁深達度により治療方針が異なります。壁深達度が浅い大腸がんでは内視鏡的治療が行われます。しかし切除した病変の病理診断により追加で手術治療が行われることがあります。早期がんのなかでも壁深達度が深い大腸がんでは手術治療が行われます。

進行がんの場合

進行がんや一部の早期がんでは、リンパ節転移を伴う確率が高いためリンパ節郭清を伴う手術治療が行われます。壁深達度によりリンパ節郭清の範囲が異なります。

遠隔転移を伴う場合

遠隔転移を伴っている場合には、大腸のがん(原発巣)による症状があるか、原発巣が切除可能か、遠隔転移を生じた部分(遠隔転移巣)が切除可能かにより治療方針が異なります。一般には原発巣および転移巣を切除した方が予後良好とされています。切除不能である場合には、化学療法や放射線療法などが行われます。

大腸がんの手術治療

大腸がんの手術治療は大腸にできたがんを切り取るだけでは不十分であり、腸管の外側にあるリンパ節も切除することが必要です。

結腸ではがんから10cm離して腸管を切除するとともに、がんからなるべく離れたところまでリンパ節を切除します。リンパ節を切除する範囲はがんの壁深達度により異なります。

直腸では肛門側はがんより1〜3cm離して腸管を切除します。肛門が残せる場合はお腹の中で腸管をつなぎ直す前方切除術を行います。がんが肛門に近い場合には肛門まで切除して永久人工肛門を作る直腸切断術を行います。

大腸がんの予後

大腸がんは一般に治療後5年間経過して転移や再発がなければ完治していると判断します。大腸がんの予後はステージにより異なります。ステージ0では、がんがリンパ節や他の臓器に転移することはありません。ステージが進むとともに生存率は低くなります。日本で頻度の高い肺がんや胃がん、肝臓がんなどと比べて、大腸がんの5年生存率は高く、比較的治りやすいがんと言われています。

日本医科大学武蔵小杉病院、消化器外科では、大腸がんに関する最先端の知識と技術を兼ね備えたスタッフが、低侵襲かつ安全な治療を患者さまに提供します。スタッフ全員が日本内視鏡外科学会技術認定医を取得しており、大腸がん手術全体の90%を腹腔鏡で行っています。

ロボット支援下手術の導入

直腸がん、結腸がんに対してロボット手術を行っています。ロボット手術は、通常の開腹手術や腹腔鏡手術の課題を解決することができる新しい手術方法です。
ロボット手術では3Dハイビジョンの高画質な画像を見ながら、手ブレのない細やかな動きが可能となります。また手術の道具が人間の手首と同じように動かすことができるため、腹腔鏡で使われている直線的な道具では届かない部分まで治療を行うことができます。
日本では2018年に直腸がん、2022年に結腸がんに対して保険がきくようになりました。治療費は腹腔鏡手術とほとんど変わりません。
直腸がんではロボット手術を行うことにより、肛門に近いがんでも永久人工肛門を避けることが可能になりました。
2022年6月ロボット大腸がん手術を開始し、その症例数が著明に増えています。

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